業界分析

テスト対策が業界を支える? 教育業界の将来について考えてみた(法令・政策編)

こんにちは。とむおです。

様々な業界をリサーチし、事業戦略の方向性についてコメントさせてもらいます。事業を企画、アイディアを考える方たちにとって何かしら気づき、ヒントになると嬉しいです。記念すべき第一回目は、教育業界をターゲットに解説したいと思います。

というのも私には今年の4月に小学校へ入学したばかりの娘がおりまして、親も子も不慣れな毎日に翻弄されながらも、教育業界の人達はどう関わっているのか気になり始めたのがきっかけです。そもそも国や地域の自治体はどのような考え方で子どもたちを教育しようとしているのか。それを支える教育業界の人達はどのような課題を解決しようとしているのか。様々な視点で教育業界全体の課題を調査し、企画・運営・販売促進される方たち向けに事業の方向性を私なりにコメントしたいと思います。まずは法令・政策の視点で調べてみます。

今回のターゲット

教育業界といっても資格スクール、語学研修、大学と様々ですが、今回は学習塾や通信講座、私立学校を対象にコメントしたいと思います。該当する企業名などもう少し対象を具体的にイメージされたい方はこちら (トップ > 業界地図  > 教育の業界地図)をご確認ください。

どうやってテストで満点をとってもらうか

教育に関わる様々な法令・政策がありますが、教育業界にとって一番影響を受けやすいものはやはり学習指導要領ではないでしょうか。学習指導要領とは文部科学省が定める教育課程の基準です。これは約10年ごとに改訂されています。学校は社会と切り離せない存在であるということから、社会の変化を見据えて子どもたちがこれから生きていくために必要な資質や能力について見直しを行っています。小学3年生から外国語が始まったり、中学ではプログラミング教育の内容がより高度になりましたが、これらは直近の学習指導要領の改正によるものです。(参考:文部科学省、改訂学習指導要領

教育業界に関わる方たちはこれに追従するように事業されているといえます。子供たちにどうやってテストで満点とってもらうかということですね。言い換えると、国がテストでどんな学力を測ろうとしているのかを先取りすれば満点が取れます。娘は通信講座をやっていますが、受講しようか迷っていた時に見たチラシには、新しい教育課程について触れられていました。外国人講師とオンラインで会話を行う英語の学習や、プログラミング教育に関わる教材が紹介されていました。

もう少し先の未来について想像したい

では、事業の元となる学習指導要領はこれからどのように変わるのでしょうか?教育業界に関わる方たちは将来に向けてどのような商材を開発すれば子どもたちがテストで満点を取ってもらえるのか。

そもそも学習指導要領は中央教育審議会の中で議論、意見募集を通じて改訂されます。令和5年3月8日には日本の教育政策の指針を示す計画、次期教育振興基本計画が策定され2022年度から実施されています。この計画の中身を見てみると今後の教育課程になるであろうネタが見えてきます(参考:次期教育振興基本計画について(答申))。例えばこの計画にはAIやDXリテラシーの習得と記載されていますが、このことからこれまでのプログラミング教育から開発したものをどうアレンジするか、より創造性溢れる開発ができるような教育が必要になるかもしれません。さらに、外国語は単なる日常コミュニケーションの習得だけではなく、SDGsなどグローバルで活躍できるためのコミュニケーションの習得が中心となるかもしれません。他にも「今後5年間の教育政策の目標と基本施策」にいくつか施策と指標が書かれていますので、今後事業をする上でぜひ参考にしていただければと思います。

もっと想像したいのですが?

次期教育振興基本計画も気になりますが、これを策定した中央教育審議会のメンバーはどのような方たちなのでしょうか。名簿(令和5年3月時点)を拝見すると大学の教授や教育に精通した専門家がほとんどです。ただ、中には県知事や民間企業の取締役の方などの名前があります。

個人的に気になったのは、ニトリホールディングス 取締役の安孫子尋美さん。この方はアメリカ研修の運営を20年間担当、毎年1200人ほどの社員を米国へ送っているものすごい方ですが、これまでの功績により第12期 中央教育審議会委員として参画されています。安孫子さんのインタビューの記事を見ると英語力の前に組織を運営するマネジメント力や人格が重要とおっしゃっています。グローバルで活躍するために必要なマネジメントスキルやコミュニケーション能力が今後の教育課程に組み込まれるかもしれません。

まとめ

以上、教育業界において法令・政策の切り口で考慮すべきポイントについて解説しました。教育業界の方たちは主に学習指導要領を参考にしているということ、また、元ネタは日本の教育政策の指針となっている教育振興基本計画であり、次期基本計画にはDXやSDGsなどグローバルで活躍、地球課題の解決に関わる人材を育成するための教育計画が組み込まれていること、さらには計画策定に関わる専門家の意見を参考にされると今後の事業のヒントになります。これらを見据えたサービスを開発、利用すれば未来の子どもたちもテストで満点がとれる?でしょう。

次回は教育業界の経済・お金をテーマに解説・コメントいたします。

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